OWV 5thシングル『You』が描く始まりの季節と背中を押す春の陽だまり

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吉本興業所属の4 人組ボーイズグループOWV(オウブ)が2022年3月9日に5thシングル「You」をリリースします。

昨年10月にリリースされた1stアルバム「CHASER」を経て、デビュー2年目を迎えたOWVが送るグループ初のミドルバラードを表題曲とした「You」。出会いと別れの季節に掲げる『始まり』のコンセプトに込められた優しくも力強く背中を押す春のエールソングすぎるので多くの人に聴いてほしい。届いてほしい。

 


そんなこんなで何処かしらで何かしらのきっかけになればいいなぁという思いで今回も個人的感想文の“ココが超スキ!!“ポイントを書き連ねていこうと思います。パワー!

 


 

ココが超スキ!!①

繰り返しリフが生むサウンドの奥行きと飽きない心地よさ

 

ゆったりとしたメロディと柔らかな音、そして広がりのある歌声にそこはかとなく心地よさを覚えるミドルバラードの「You」。

繰り返し聴いても飽きの来ないシンプルながらも拘り抜かれたサウンドが美しいなぁと思っているんですが、聴けば聴くほどに音が馴染んでいくような気がしていて。

 

 

それもそのはずMV公開前のティザー映像でも流れていたこのイントロ部分のリフ、楽曲のフルを聴いた時に驚きでひっくり返ってしまったんですが、イントロで柔らかくも暖かい世界観を表現した後も曲頭から最後に至るまでずっと同じリフが反復を続けているんです。

途中、曲の流れや盛り上がりに合わせて止まる部分はあれど一曲を通して殆どずっとリフが繰り返される曲ってそう多くはないと思うんです。

ロックやブルースでもない曲で、しかもギターリフでもないものでここまでリフがサウンドの主軸になっている曲は個人的に珍しい気がしますし、他のOWV楽曲においてもあまり見ないループスタイルなんじゃないでしょうか。

 

インストで聴くとよりその存在感に触れることが出来る「You」のリフですが、何度も繰り返されることでメロディを圧迫したりクドくなっているのかと思いきや、リフの後半に休符があることでメロディを圧迫しないどころか楽曲全体の奥行きと空間が増しているように感じられます。ずっと後ろで繰り返されているからメロディが変わってもシームレスに馴染んで、聴くほどに心地よさと味わいも深まります。


しかも3:16頃の「Wow My feelings are budding Wow My love is budding…」の間にはなんとコーラスでリフのラインが飛び出してくるんですが、終盤でこの演出は憎い展開すぎる。優勝です。

このドラマチックな展開で一気に叙情的な音の重なりが生まれて、クライマックス感と視界が開けたような爽快感を覚えます。

 

 

そして、一聴しただけでわかりますがこの「You」という曲、タイトルになっている同フレーズがサビの歌詞にもなっています。

シンプルなフレーズでありながらも、おそらくこの曲を聴いた多くの人の印象に残るのがこの”You~…"というフレーズなんじゃないかと思うんですが、単に”サビだから”、”繰り返し聴こえるから”という理由だけで耳を捉えているわけじゃないと思っていて。

“You~…”の語尾をメロディに沿って伸ばすのではなく、跳ねるように切り上げる特徴的な歌いまわしにすることで上がっていく音階と相俟って耳に残るキャッチ―さが生まれ、この短いフレーズを曲のフックたらしめているのではないかなと感じています。

 

また、全体的に音の深みと広がりを感じられる包容力のあるサウンドの中に小気味良く跳ねる音が入ることで春の軽やかさのような明るさが差し込んで素敵だなぁとも思いますし、跳ねさせつつも浮ついた印象を与えないように歌声で落ち着かせている確かな歌唱力に慄きました。しれっと凄いことをやってのけるOWVのハイパフォーマンスお家芸ですね。

 

 

 

ココガスキ!②

繊細な心の移り変わりを描く自然さ

 

そしてなんといっても「You」、全文を載せて一行ずつ朗読会したいほどに歌詞の繊細さと表現の美しさが半端ない。

 

季節の芽吹き(始まり)である"蕾"をモチーフにし、気持ちと季節の始まりを表現した、OWV表題曲では初のミドルバラード曲「You」

引用:https://owv.jp/news/211


という通り、歌詞からもその表現を感じることが出来ます。

心情の比喩として蕾が登場するのは勿論、タイトルにもなっている「You」は曲中で「sunshine」「日差しのように暖かい笑顔」と何度も太陽に例えられており、心の機微や存在を自然のもので表現する美しさが随所に溢れていて何とも瑞々しい曲だなぁと感じますし、比喩を多用することで歌詞に余白が生まれ、受け取り方の幅も広がるのがよりメッセージ性を高めていて聴く人が増えるほどに曲の豊かさも増すのだろうなとも思わされます。豊穣。

 

なんでそんなに明るく笑うの?

不意を突かれて I smiled

鍵をかけていた heart 扉開けてしまった

気づいたらほら君を探してる

 

上の歌詞のように冒頭での受動的な態度から曲中で能動的に変化を求めるまでの心情の機微を表現する繊細さも凄くて。

自分に起こっている変化はまだ「You」からただ与えられたもので自分の意思とは無関係という認識の上記1番冒頭、自分の心に何かが芽生えていることにはじわじわと気づきつつもまだ進むことには臆病な1番サビの「側にいたい〜期待してしまいそう」。変わりたいという想いを胸に地を蹴った2番サビ前の「ふくらむ想いが咲きそうで僕は君の元へと駆け出した」。


月日が過ぎるたび、という歌詞の通りゆっくりとでも確実に変化していく心情表現に唸るしかなくて、本当に一言ずつ取り上げていきたいくらい気持ちが細かく散りばめられた繊細な歌詞だなぁと思います。

 


そして最終的にはサビの最後に「始まりの予感を握りしめて」とあるように心に何かが芽生えたのは太陽であるYouに巡り合えたからだけど、あくまでも最後の一歩、その手を開いて花を芽吹かせるのは自分自身の力だという『始まり』に対する見方と背中を押す力に胸がいっぱいになり、鼓舞された気持ちになります。

 

「君と出会えた今があるから 過去の全てが愛しくなった」という歌詞も本当に好きなんですが、愛せなかった過去すらも変えることの出来る“今“の尊さと可能性に胸が苦しくなりました。

 

 

 

ココが超スキ!!③

真っ直ぐな想いを拾い上げるコンセプト

 

OWVはシングル毎にクリエイティブコンセプトが設定されていますが、ここまで何度も書いているように今回の5thシングルにおけるコンセプトは『始まり』。

この『始まり』というコンセプト、過去の『破壊と創造』、『色気』、『野公子』、『夏の一日』と比べてみるとよりコンセプチュアルなものに寄っている気がします。(こうして並べて見ると改めて野公子の異質さが光り輝いていますね。)

 

OWVの過去のインタビューやライブでのコメントを思い返すとこれまでのコンセプトに対しても、曲が持つ意味以上に間口を広げてより多くの人へエールや想いを届けようとする姿勢を感じていましたが、概念的な要素が大きく打ち出されている今作においてはコンセプトに包含され得るすべての『始まり』に直面する人の背中を押したいという強い気概を感じます。

 

いつも「皆の背中を押したい」「心の拠り所になりたい」「辛い時にはOWVを思い出してほしい」と受け止める両腕からこぼれ落ちてしまいそうなほどに沢山のメッセージを時にはパフォーマンスを通して、時には言葉で届けてくれるOWVの一貫した「誰かの背中を押すため」という想いが顕著に表れているのが今回のコンセプトなのかなと感じています。

 

ココが超スキ!!④

カップリングが表題曲の顔をしている

 

これはもう本当に聴いてくださいの一言に全てを込めます。

聴いてください!!!!!!!

 

カップリングが2曲ともめちゃくちゃ表題曲の顔してるんです。

この2曲がカップリングになるOWVの持ち曲、恐ろし過ぎる。

 

サブスクでも配信されているので是非。

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YouTubeのInformation Videoでも少し聴けるので気になった方はそちらも見てみてください。

 

 

これまでいくつもの季節をOWVと共に過ごしてきた人、そして今作で初めてOWVに出会った人に暖かな春の訪れを告げる「You」が新たな始まりへと向かう誰かの背中を押す陽だまりとして多くの人に届きますように。

 

 

 

 

You

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