OWV 3rdシングル『Roar』高い輝度で発光する唯一無二の魅力
吉本興業所属の4人組ボーイズグループ「OWV(オウブ)」が2021年3月31日にリリースする3rdシングル「Roar」があまりにも生身の人間を感じる泥臭さとアーティストとして洗練された魅力が詰まったハイブリッドなソウルフルソングすぎるのでとにかく多くの人に届いてほしい!聴いてほしい!
なのでRoarを聴いて思う超個人的“ココガスキ!”ポイントを抑えきれない興奮と共に書いていこうと思います。パッション。
ココガスキ!①
【気持ち良さとストーリー性が同居する脳内麻薬リリック】
Roar、とにかく聴いていて耳に気持ちいい音がずっと続く。
楽曲のフル公開当初はシンプルに曲のかっこよさが好きだなぁと思って繰り返し聴いていたんですけど、何度聴いても飽きとクドさが出てこないことが少し不思議で。なんならループで聴くとなんか気持ちいいぞ?と思っていたら韻がそこかしこで踏まれていてひっくり返りました。
以下、見逃しもあるかと思いますが歌詞の一部です。
Making my way Making my way
ei(n)aei ei(n)aei
狙え Three two one
eae ui u a(n)
I'll never stop I'll never stop
aeia uau aeia uau
鎖さえ Can't hold me down
uaiae a(n) oui a(n)
Unchained 明日は俺が決める
a(n)ei(n) aua oea ieu
道がないなら作れ
iia aiaa uue
Judgy な Eyes 気にしない
aia ai iiiai
自分次第なら I will keep on
iu(n)iaiaa ai io(n)
燃やせ Fire 'Cause I'm a fighter
oae aia oaa aia
どんな言葉が縛ろうとしても
o(n)a ooaa iaouoieo
Yeah yeah so 飼い慣らされない Lion
ei ei o aiaaaeai aio(n)
野生のように 自分にしか進めない道を
aeio oui iu(n)iia uueai iio
I’m a lion I’mma roar
aaai aa oa
I’m a li- I’m a lion roar
aaai aaai aaoa
I’m a lion I’mma roar
aaai aa oa
I’m a li- I’m a lion roar
aaai aaai aaoa
I’m a lion I’mma roar
aaai aa oa
・「Making my way」「I 'll never」「Unchain明日は」 ⇒ eia
・「狙え」「鎖さえ」 ⇒ ae
・「one」「down」「keep on」 ⇒ an
・「俺が決める」「作れ」 ⇒ eu
・「道がないなら」「自分次第なら」「飼い慣らされ」「lion I’mma」 ⇒ aiaa
・「Judgy」「Eyes」「気にしない」「されない」「進めない」「Lion」「I’m a li」 ⇒ ai
・「燃やせ」「’Cause I」 ⇒ oa
・「Fire」「fighter」 ⇒ aia
・「yeah so」「野生の」 ⇒ eio
・「Lion」「道を」 ⇒ io
このあともひたすら気持ちよさの最適解みたいな音がバンバン繰り出されてくるんですけど、恐らくその全てが狙って組み上げられているんですよね。わかりやすく同じ音が続くところはアタックを強めにしてインパクトを残し、一行前の歌詞の音に合わせて語尾を敢えて弱くしたり音をひねったりするフロウを効かせるっていう技を高い温度を保ったまま出す技術がすごい。
音楽雑誌等のインタビューでそれぞれが「動物的な熱さでこれからのし上がっていくぞという気持ちが込められている曲」としてRoarについて語っているんですが、なりふり構わない動物的な勢いの中にしれっとめちゃくちゃなテクニカル歌唱をぶち込んでくるので脳みそが溶けました。
そしてサビではI'm a lion I'mma roar…と同じ歌詞が続くことで楽曲に込められた強い意志を強調すると共にサウンドを主役に押し上げるという3rdシングルにしては挑戦ともとれる音の構成からOWVの練られた胆力を感じられて、音楽に対する拘りを真っ向から突きつけられた気がしました。
こういったサウンドに沈み込むような歌詞の引き算の仕方にも本当に拍手喝采なんですけど、引き算だけで終わらせずに伝えたいメッセージもしっかり盛り込まれていて。
例えば初っ端の『Making my way Making my way 狙え Three two one』に始まり、『道がないなら作れ』『自分にしか進めない道を』と“道”にスポットライトが当てられた歌詞が何度か出てくるんですが、これもOWVというグループ名に込められた“Our only Way to get Victory~勝利を掴む僕たちだけの道~ 誰にも真似することのできない唯一無二のグループとなり、この世界で勝利を掴む”というメンバーの『唯一無二の道』に対する強い想いが反映されているんですよね。こうした曲解させる隙を与えないストレートな歌詞に込められた想いはド直球で響きます。シンプル is ベスト。
そして他にもこれまでにリリースされた楽曲の歌詞がオマージュ的に盛り込まれているという何とも憎いギミックが仕込まれている点にも膝を強く打ってしまいますし、デビュー当時からグループとしての姿勢が一貫されているOWVの骨太さを感じます。
「UBAUBA」(デビューシングル)
・燃え尽きないfire
・逃げないよ I'm a fighter
「Roar」
・燃やせ Fire 'Cause I'm a fighter
「Ready Set Go」(2ndシングル)
・Ready Set Go Ready Set Go Go
「Roar」
・Ready Set Go 駆け抜けろ
2ndシングルでリリースされた「Ready Set Go」の最後がReady Set Go…という号砲の言葉で終わっていて、物語が動き出す直前の膝を曲げた状態で曲が終わるのも面白いなぁと思っていたんですが、今回の3rdの終盤で遂に駆け出していてこんな伏線の回収の仕方あり……?と思いました。グループ結成から今まで培ってきたもの全てが今、一斉に飛び出して駆け出す様が熱すぎるし、ずるすぎる。
全編通してまるごと“OWVが歌うからこそのメッセージ”が詰め込まれていて、ファンが聴くとこれまでの4人の道のりとこれから続いていく道のりが楽曲に重なって奥行きがグッと生まれるところに胸が熱くなります。
ココガスキ!②
【随所に響く攻撃の音】
このRoar、サビに銃の撃鉄を起こすような、装填しているような『カチャッ』という音が入っているんです。純度100%の攻撃を連想させる音。
ただ、銃声とか攻撃そのものの音ではなく攻撃の準備の音を入れるところがまた憎いほどかっこいいな!と思いました。MVでは猛々しく炎の中で咆哮を上げている人達がサビで爪を研ぎながら静かに攻撃する機会を窺ってるんですよ。控えめに言ってもこわすぎるし、直後にきこえる百獣の王の咆哮。あっ死んだ、と思いました。
曲の中でもこの『カチャッ』という硬い音、異質さを放っているんですけどその硬い異質さが音楽としてもめちゃくちゃ活かされているなぁとも思っていて。
というのもサビの音の流れがほんの少し沈む瞬間に銃の音が入れ込まれている気がするんです。それまでの音の流れを1度断つことで、その後に緩急が生まれて同じ歌詞が続く音サビの表情をさらに豊かにするというオールラウンダーサウンド・・・。
急に銃を突き付けられたら誰でもビビります。
そして銃の音以外にも攻撃性を含んだ音として”ライオンの咆哮”、MVでは“炎が燃える音”が入っています。ライオンの声は音源でも入っているんですが炎の音はMVのみとなっています。音源を聴いて音が入っていないことに驚いたくらい、炎の音が曲の世界観を強めているのでMVとサブスク等で解禁されている音源、どちらも聴いてみてほしいです。
この曲自体の位置付けがOWVがこれから更にギアを入れて駆け上がるという意思表明だと思っているので、そこに人類が発展するのに必要不可欠だった“火”と競争社会の中で武器として扱われた“銃”、そして百獣の王であるライオンの”咆哮”の音が入っているところが最高火力の強気な姿勢で良いなと思いました。
ココガスキ!③
【作り込まれた世界観と残された余白】
デビューシングル「UBAUBA」は“破壊と創造”、2ndシングル「Ready Set Go」は“色気”、とリリースする曲にそれぞれコンセプトが設定されていてOWVってコンセプチュアルな世界観を表現する力が凄いなと思っているんですが、なんと今回もコンセプト、設定されています。
それが「野公子」
3rdシングルのクリエイティブ・コンセプトは「野公子」。”野生感”と”貴公子”を織り交ぜた唯一無二のスタイルを楽曲で表現しています。(2021年3月31日発売3rdシングル「Roar」“野生感”と“貴公子”を織り交ぜた唯一無二のスタイル“野公子(やこうし)”コンセプトの新ビジュアル公開! | NEWS | OWV OFFICIAL SITE)
やこ………なんて?
ただ、何度か曲を聴いているうちに相対値としての“唯一無二”ではなく絶対値としての“唯一無二”を打ち出してきた結果が”野公子”なのかなと思いました。まずスタート位置から他と一線を画してきたのか、と。完全I’m originalな姿勢が造語をコンセプトにしてしまうところからも漏れ出ています。
そしてMVを見て思うわけです。こりゃ唯一無二完全I’m original野公子だわ。
ライオンのような動きが随所に盛り込まれている低重心の野性的なダンスと、ふとした時の表情や手の動きから見て取れる気高さに”野公子”を感じます。野公子、それは宇宙。考えるな、感じろ。
そんなコンセプトが徹底して表現されている「Roar」ですが、YouTubeでのMV公開直前生配信でOWVのリーダー・本田康祐さんがMVと楽曲、ダンスについて「自由な解釈で楽しんでね」という旨の発言をしていたんです。これ、作品をしっかり作り込んでいる自負がないと出てこない言葉だなぁと思いましたし自分達の作品に自信があるんだなぁと感じました。その上で敢えて余白を残すことで受け取り手の楽しみ方の幅を広げる余裕を見せてくる所がアーティストとしてかっこよすぎる。爆信頼。
そしてこれ幸いと自由な解釈を楽しんだ結果がこのツイートです。はしゃぎ倒してますね。
OWVのRoarMVに出てくるメインモチーフが玉座、ライオン、錆びた剣、大量のチラシ(紙)、倒壊した柱、炎、鎖、蛍光灯だと仮定した上でこういう意図かなとあくまで私が現時点で思ったことを書いていきます。深読みたのしい!
— たなか味噌 (@miso_t12) 2021年2月21日
この一連のツイートについてもいつか別記事でまとめられたらいいなぁと思っています。
情報過多ってくらいに全力で盛りに盛られた「Roar」、グループ結成から2年目を迎えようとしているOWVが今起こせる最大瞬間風速ですべての可能性を巻き上げている姿がそのまま詰め込まれた熱い曲です。
OWVの生身の人間を感じる篤実な魅力とアーティストとしての洗練された魅力、それぞれが高い輝度で発光する3rdシングル「Roar」、是非聴いてみてください。